糖尿病の初期に症状はなく、痛みもかゆみもありません。
自覚症状がないこの時期に、高血糖により体中の血管が少しずつ、確実に傷ついていき、動脈硬化がすすんでいき自覚症状が現れるようになります。
糖尿病が進行していくと、次のような自覚症状が現れます。
- のどが渇く(口渇)
- たくさん水分をとる(多飲)
- たくさんおしっこが出る(多尿)
- 疲れやすい(易疲労)
- 体重が減る(体重減少)
これらの症状は、高血糖の状態でみられます。症状がでた時点では、体の血糖コントロールがすでに非常に悪くなっている状態であることが多く注意が必要です。
糖尿病が進行すると、からだのむくみ(浮腫)、尿量減少、食欲低下、全身倦怠感、手足のしびれ(末梢神経障害)、視力障害などの症状がみられるようになります。
高血糖の状態が持続し動脈硬化が進むと、体の末梢の組織に血液がしっかりといかなくなり、様々な合併症が出現するようになり、生命にも関わってくる状態となっていきます。
糖尿病の症状がみられるときは、血糖コントロールが非常に悪い状態か、すでに糖尿病による動脈硬化により血行が悪くなってしまっている状態です。症状が出て、糖尿病が進行してしまった状態では手遅れといっても過言ではありません。
残念なことに、血糖値をよくしても、動脈硬化で傷ついた体中の血管を元に戻すことはできません。
治療をはじめて血糖値を下げ血糖コントロールが良好な状態となっても、動脈硬化で血管がぼろぼろになってしまった身体では合併症がみられることになります。
そのため、糖尿病の治療をしているのに、治療で血糖値が正常値となったのに、「目が見えなくなった」、「人工透析をしなければならなくなった」、「脳卒中で倒れた」といったことになります。
糖尿病の末期では、治療をしていても合併症が進んでいきます。それでも血糖値が良い状態を維持し、少しでも合併症の出現や進行を遅らせるに越したことはありません。
糖尿病が進行していない初期の段階で対応していれば、症状がでることなく健康的に過ごすことも可能です。
健診などで早期に血糖が高い状態を発見し、症状がない時期から血糖コントロールをよくすることが重要である理由はこのためです。